は じ め に

 

千葉県自治研修センターは、市町村合併の動向を背景に、事務の合理化、効率化を目指して、一部事務組合同士が統合し、千葉県市町村総合事務組合の研修事業担当部門として平成18年4月に誕生しました。前身の千葉県自治専門校と同様に、千葉県内の市町村職員のための広域共同研修機関として、県内市町村に「豊かな自治」が育まれるよう、人材育成の面から貢献していくことを目指します。

 

千葉県自治研修センターのこれまでの研修事業の計画は、単年度ごとにスクラップ・アンド・ビルドすることを基本として、構成市町村職員からなる協議会等で検討し策定されてきました。折しも、平成16年、地方公務員法の改正により、自治体は「研修に関する基本的な方針」等の策定を義務付けられることになりました。

そこで、千葉県自治研修センターでは、研修の具体的目標とその実現に向けた基本的な取組の方向を「研修ビジョン」として確立することにより、広域共同研修機関として、より効果的な研修を計画し、実施していくこととしました。

 

研修ビジョンの目標年次は、中期程度を見据えたものとし、その内容は、わかりやすく、シンプルな形で、具体的目標を提示するものとします。また、力を注ぐべき点と方向性を明確にすることにより、戦略的で、メリハリのついたものとするよう心掛けました。そして、その策定の手法については、学識経験者や県民が参加する諮問委員会方式をとるとともに、市町村アンケート等の結果も活用しました。

さらに、策定された研修ビジョンは、千葉県内の各市町村が、今後、人材育成基本方針や研修計画を策定する際のモデル的役割を担うものとなるように努めました。

 

平成18年9月

 

千葉県自治研修センター

所長  海老原 政秀

 

 

 

T 今求められる人材育成とその課題

 

1 人材育成に関わる4つの視点  

自治体が、新たな時代を迎えている状況のなか、自治体変革の担い手である職員の人材育成や研修を考えていくうえでは、特に、次の4つの視点に立つことが重要であると思われます。

 

(1)分権改革

分権改革の推進を契機として、その担い手である自治体の人材育成を図ることの緊急性・重要性については、国レベルの委員会等でもたびたび明確にされており、概略は次のとおりです。

・ 平成8年12月 地方分権推進委員会「第一次勧告」

「地方分権の実をあげるためには、地方公共団体における有能な人材の育成・確保がますます重要になる。このため、地方公共団体においては、これまで以上に職員の研修機会の多様化や研修レベルの向上が必要となる。」

 

・ 平成9年2月 地方行政運営研究会 第13次公務能率研究部会(旧自治省)「地方公共団体職員の人材育成―分権時代の人材戦略」

「『人材』とは、担当する職務に関し課題を発見し施策を的確に遂行するために必要とされる能力と意欲を持っており、職務に積極的に取り組むとともに、そうした持てる能力と意欲の向上に自覚的に努めている職員のこと。」

 

・ 平成9年7月 地方分権推進委員会「第二次勧告」

「地方公共団体は、政策形成能力の向上等を図るため、職員の資質向上と優秀な人材を確保する観点から、共同研修の開催等による研修機会の多様化や研修レベルの向上、研修内容の充実に努める。」

 

 

以上のとおり、分権改革には人材の育成・確保が必要条件であるとしています。

 

(2)効率的・効果的な自治体経営

1980年代以降、欧米先進諸国では財政の効率化による「小さな政府」が指向され、我が国においても、バブル経済崩壊後、行政改革の一環として「官から民へ」が提唱され、現在進展している状況です。

の動きは自治体にも大きな影響を及ぼしつつあります。特に、国、地方を通じる財政の著しい悪化に伴い、市町村にも、一層効率的な行財政運営が求められ、民間委託、公設民営化、指定管理者制度など、民間活力を導入する経営手法が試みられるようになってきました。

今後は、住民の納得と信頼に足る自治体経営を、どのようにして効率的・効果的に実現していくかが大きな課題となり、これが職員の人材育成を考えていく上での重要な視点となってきます。

 

3)協働による自治体運営

公共サービスの提供主体がもっぱら行政であるという考え方が見直され、これからの市町村には、住民、コミュニティ組織、NPOなどとの協働による「新しい公共空間」の形成が求められるようになっています。

これは、住民と自治体が役割分担しながら、連携・協力し地域の経営を行っていく「協働型自治」の具現化といえます。

このような意味において「人材」の意義を広く捉えるならば、地域の人材とは、自治体職員を核として、NPOなどの「新しい公共」の担い手を含む広範な人的資源の集まりであり、このような視点からの人材育成がますます重要となってきます。

 

(4)職員の意識改革

自治体職員の意識や勤務姿勢が厳しく問われるようになり、公務員のあり方、人事管理システムのあり方等が従来以上に重要な改革課題となってきています。

平成11年4月の地方公務員制度調査研究会(総務省)で「地方公共団体の人事管理の改革を促すべきとされた事項」として、年功序列から能力実績を重視した人事管理への転換、給与への勤務実績の反映等が挙げられ、自治体は、そのための職員の能力や勤務実績についての公正で客観的な評価システムの構築と運用を迫られています。ここでも人材育成が重要な視点となっています。

 

2 人材育成の課題

これからの人事制度は、職員一人ひとりにとって、自分のキャリア形成を考えることのできる「トータルな人事・育成システム」として再構築される必要が出てきています。

特に、人材育成については、自治体の役割と具体的な政策の実現に向けて、求められる職員をどのように育成していくかが課題であり、計画的な人材確保、その能力の開発・育成と活用、評価、そして処遇といった人事運用を有機的に結び付けていくことが重要となっています

 

 


U 千葉県の市町村と人材育成(市町村アンケート結果から)

 

千葉県自治研修センターは「研修ビジョン」をまとめるに当たって、平成18年6月に「職員研修等に関する調査」を行い、県内56市町村の人材育成や職員研修についての考え方を聞きました。設問と調査集計結果を資料編に掲載いたしましたので、集計結果を参照しながら、千葉県の人材育成や職員研修の現状について見ることとします。

 

1 人材育成の現状

(1)人材育成の取組状況 (20頁 設問1)

地域社会を取り巻く状況が急激に変化して、自治体行政は大きな転換期を迎えています。

当然ながら、その担い手である職員には、この変化に対応した意識改革を迫られるだけでなく、自ら主体となることが求められ、こうした意味で適応能力を高める研修はますます重要になっています。

国においては、平成9年に各自治体に「人材育成基本方針」を策定することを要請し、さらに、地方公務員法の一部改正(平成17年4月1日施行)により、各自治体は「研修に関する基本的な方針」を定めるよう義務づけられました

千葉県内の市町村における「研修に関する基本的な方針」又は「人材育成基本方針」の策定状況(平成18年3月末現在)をみると、全56市町村のうち41市町村、73%において策定済みとなっています。未策定の15市町村のうち、13市町は合併により平成17年度に誕生した新市や合併に向けた動きがあった団体であり、未策定の主な理由は、合併の実現を優先課題としたためと思われます。

したがって、市町村合併も一段落した平成18年度以降においては、策定率の上昇が期待されています。

効果的な人材育成を進めていくためには、明確な「人材育成基本方針」を定め、自治体の経営戦略として、どの部局で、どの階層で、どんな人材が必要とされるのかを明確にしていくことが望まれます。

そして、職員の必要とする能力、育成すべき能力が具体的に把握され、研修など、その能力養成のための適切な手段が検討されていく必要があります。

 

(2)育成目標の設定状況 (20頁 設問2−1)

それでは、千葉県内の市町村は、現在、どのような職員を育成すべきであると考えているのでしょうか。 育成すべき職員像については、龍谷大学が平成16年に全国の市町村を対象に調査した結果がありますので、それと、今回の県内調査の結果を比較してみます。

全国調査の結果では、多用されているキーワードとして次の表のとおり、「市民の視点、市民志向」など19の語群が挙げられています。

 

「育成すべき職員像」についてのキーワード

市民の視点、市民志向

市民ニーズへの対応

協働・パートナーシップ

変化への対応

行動する、実行する

変革、挑戦、チャレンジ

専門性、プロフェッショナル

政策形成・立案

創意工夫、創造力、想像力

10

地方分権を支える

11

経営、コスト感覚

12

成果志向

13

信頼

14

倫理観

15

自律、主体性

16

使命感、情熱

17

感性

18

豊かな人間性

19

公平・公正

出典:平成16年2月 龍谷大学地域人材・公共政策開発システム・リサーチ・センター

「地域政策を担う人材育成のあり方と課題に関するアンケート調査」報告書

 

これらの語群について県内調査の結果を当てはめると、次のようにまとめることができます。〔( )内の数字は県内調査の回答件数〕

 

@ 全国・県内調査に共通して多いキーワード

信頼(14)、経営・コスト感覚(14)、変化への対応(11)、

使命感・情熱(10)、専門性・プロフェッショナル(6)

A 全国調査では多いが、県内調査ではほとんど無いキーワード

成果志向(0)、感性(0)、行動する・実行する(1)、自律・主体性(2) 

B 19語群に含まれないが、県内調査では多く見られるキーワード

責任(11)、積極的(10)、意欲的(8)、柔軟(7)

 

(3)育成すべき能力・資質(20頁 設問2−2)

自治体職員に必要な能力・資質として、前記の全国調査では、「説明責任・応答能力」「コミュニケーション能力」、「政策の実行力」、「公務員倫理」などが上位に挙げられていました。県内調査の結果は、これとは若干異なり上位を占めたものは次のとおりです。

政策形成(19)、公務員倫理(13)、業務(職務)遂行(12)、課題(問題)発見・解決(10)、自己啓発(9)、説明・説得(8)創造性(7)

 

県内調査結果の「政策形成」、「課題(問題)発見・解決」、「創造性」を総合すれば、全国調査における「政策の実行力」に対応するものではないかと思われます。こうした点で、県内調査の傾向は、全国の調査と概ね一致するものと考えられます。

 

(4)管理職に求められる能力・資質(20頁 設問2−2 A)

前記の全国調査にはこの設問がないため、県内調査の結果を見ますと、 管理職とそれ以外の職員を分けて、求められる能力・資質を提示している団体は33団体、全体の59%であり、数の多いものは次のようなキーワードです。

管理(危機管理、組織管理、労務管理、職務管理、目標管理、等)(29)、指導・育成(22)、判断・決断(12)、折衝・交渉(11)、リーダーシップ(10)

 

2 研修の現状 

 (1)研修と人事管理

研修記録の人事管理への反映をみると、「一応参考にしている」ところが50%、「一部反映している」ところが25%です。研修記録は、何らかの形で人事管理のために活用されているといえます。

(21頁 設問4−2)

また、研修前後に行っている方策として回答が多かった選択肢は、「復命書の提出」95%と「研修記録の人事記録への記載」66%の2項目でした。(25頁 設問10)

職場外研修と職場内研修の関係については、回答肢の構成の関係もあると思われますが「双方が活かしあう関係が望ましい」に77%と回答が集中しました。その他の回答として「異なるものとの出会いにより学ぶこと」32%、「日常気付かないことに気付くことが多い」39といった回答が見られました。(21頁 設問4−1)

 

(2)派遣研修機関の役割分担(22頁 設問5)

どの派遣研修機関に、どんな能力の養成を期待しているのか、ということをみると、千葉県自治研修センターに対する期待が、全般的に他の研修機関に対するものよりも高く、広域共同研修機関としての役割の重要性を示す結果となっています。

研修内容別に見ると、常識・倫理・接遇などについては、各自治体での研修(OJT含む。)で対応するとしたものが70%と圧倒的に高くなっており、担当業務に関する研修については、千葉県自治研修センター、市町村アカデミーを挙げる団体が多く、OJTによるという回答も比較的多いものとなっています。

上位者を対象とする階層別研修では、自治大学校と市町村アカデミーを合わせた回答が31件でありましたが、千葉県自治研修センターに対しても34件の回答があり、このことは今後の千葉県自治研修センターのあり方を考える上で注目すべき点です。

政策形成、改革能力等に関する研修では、千葉県自治研修センターへの期待値も高くなっていますが、自治大学校と市町村アカデミーを合せると58件となり、視点はやや全国規模の研修機関に向いていることが窺えます。

「市民・地域からの発想の研修」については、各自治体内での研修によるとした団体が多く、OJTと合わせ39件と高くなっています。

 

(3)派遣研修のプログラム等の課題(23頁 設問6)

派遣研修の課題として多く挙げられたのは、「体験・参加型のプログラムが少ない」52%と、「派遣目標に真に必要なものだけを選択することが困難」41%の2項目です。事例研究など、参加型のカリキュラム増設の希望は研修終了時の受講者アンケートと共通しています。

これらは、今後のカリキュラムのあり方を示唆しています。

 

(4)研修機会の確保方策(24頁 設問7)

研修の機会の確保方策については、研修生を派遣する側の対応と研修を実施する側の対応の両方が挙げられています。

前者の対応として「人材育成を後退させるべきでないという意識が必要」としたのは45件、80%と極めて高くなっています。

後者の対応としては、「交代で出席できるように同じ内容の研修を複数回実施」と「自主的に学べるシステムの導入」という回答がそれぞれ36%、39%の比較的高い比率を示し、業務の多忙さによる研修への参加の困難さを窺わせるものとなっており、何らかの対応策が必要と思われます。

 

(5)新しい研修

@ 住民・NPO等との共同研修について(24頁 設問8)

 ァ 必要性

「必要である」23件、「必要であると思うが課題が多い」

18件、合計41件、73%がその必要性を認めています。

 ィ 手 法

設問の「住民、NPO等との共同研修」について、実施主体の理解の仕方に次の二通りがあると思われます。

 研修を広域共同研修機関である千葉県自治研修センターが行う。

このとらえ方は、「必要」と回答した団体に多いと思われます、「協働の理念や手法」の理解の促進、NPOの関係者が講師となることにより刺激的、効果的な研修ができる、などの利点を挙げる一方、費用負担、研修生募集の仕方などに懸念を示しています。

 地域の課題をテーマに各市町村が個別に行う。

このとらえ方は、「必要であるが課題も・・」「慎重に対応すべき」と回答した団体に多く見られました。「一部住民のみの参加になる」、「行政への要望を聞く場になる」、「住民が趣旨を理解してくれるか」など、やや否定的な見方が多くなっています。一方、利点として「住民との相互理解ができる」といった肯定的な評価もありました。

A 政策形成能力の育成(25頁 設問9)

政策形成能力の育成のための方策については、職場内研修と千葉県自治研修センターへの研修派遣に力を入れることの2点が挙げられています。

「職場で課題解決の激励、指導に力を入れる」は20件、50%と高く、政策形成の実践的な研修に相当するものといえます。

また、「自治研修センターの政策研修に派遣」も41件、73%と極めて高くなっています。

これらの回答については、「大学院等の派遣」の13より高い点が注目されます。

この理由として、研修にはより実践的な形での実施が期待されているためではないかと推測されます。

 

(6)千葉県自治研修センターによる研修のメリット(25頁 設問11)

7つの選択肢全般にわたって、メリットを感じるとされており、千葉県自治研修センターとしては好ましい結果と言えます。

特に数値の高い4項目は「独自で用意できない専門研修」86%、「他の職員との出合いや交流」54%、「経費が安く、充実した研修」41%、「研修計画がたてやすく、必要に応じ派遣できる」59%です。

これらは、今後の千葉県自治研修センターの方向性を考える上で、重要な要素となると思われます。

残りの3項目についての数値は次のとおりです。

「内容等が有効なプログラムがある」36%、「客観的に職場のあり方を見る目を養える」 34%、「多彩な講師が用意されている」30%

 


 

V 新たな研修ビジョン

 

1 豊かな自治の営み

これまでの検討結果を踏まえ、千葉県自治研修センターは、新しい時代の「豊かな自治」を担う職員の育成をめざすべきであると考えます。ここでいう「豊かな自治」とは、おおよそ、次のような内容をイメージしています。

「自ら治める」という自治の原義に即して、地域の問題に関しては、各自治体と住民が、自分たちで考え、判断・決定し、実行し、その結果については自分たちで責任を引き受けること。

この基本原則に基づいて、以下の状態を作り出すこと。

 

(1)中央省庁主導の縦割りの画一的な施策の展開を、住民主導の総合的

で、個性的な施策の展開へ転換させ、安全・安心で、人としての尊厳が

守られるような地域社会が実現されていくこと。

(2)人びとが、住んでいたい、住んでよかったと思える地域づくりのた

めに、さまざまな活動に自由に参加していること、またその機会が保障

されていること。

(3)自助・共助・公助というように「補完性の原則」に基づいて、自立

と連帯の関係が積み上げ型に形成され、地域の総合的な力が引き出され

ていること。

(4)自治体が、世の中の動向を鋭敏に察知しつつ、外との多様なネット

ワークを形成しながら、自分たちの位置を見定め、目指すべき方向を堅

持していること。

 

2 基本理念

千葉県自治研修センターは、新しい時代の「豊かな自治」を担う職員を育成していくため、次の3つを基本理念として研修に取り組みます。

 

(1)市町村の人材育成基本方針との整合性を図り、地方分権時代に適応できる人材を育成します。

(2)研修と人事が連携した人材育成のあり方を総合的に研究する仕組みづくりを推進します。

(3)共同研修の実施を通じ、自己啓発の必要性を喚起するとともに、真に市町村職員を生かす職場環境やOJTの活性化に寄与します。

 

3 求められる職員像

新しい時代の「豊かな自治」を実現していくため、自治体には、次のような人材、職員像が求められると考えます。

 

(1)住民と協働し、住民から信頼される職員

(2)公務員としての倫理感を持ち、世間の常識を理解して、責任ある行

動がとれる職員

(3)政策マインド」(政策課題の発見と解決への強い意欲)を持ち、

主体的に行動できる職員

(4)事なかれの前例踏襲や慣例主義から脱却し、新たな政策立案や制

度運用に挑戦する職員

(5)常に、目標達成志向とコスト意識を持ち、創意工夫しながら職務

を遂行できる職員

 

4 職員に求められる能力

前記3に掲げた職員像に照らして、自治体の職員には次のような能力

を備えることが求められると考えます。

 

1 新しい時代に対応した能力

 

@ 政策能力

政策課題の発見・提起、政策の企画・立案、実施、評価、見直しを主体的に行うことができる能力

A 効率化能力

仕事の本質を見極め、無駄なく効果をあげる能力

B 住民と協働する能力

住民を対等のパートナーとして、目的や戦略を共有しつつ、より良い地域社会をつくっていく能力

2 公務員としての基礎能力

 

@ 接遇能力

相手の立場に立って明快に、要領よく、応対できる能力。

 

A 説明能力

相手と良好な関係を保ちながら、筋立てて、十分に説明できる能力。

B 社会規範遵守能力

社会人として守るべきルールや人権、プライバシー等をしっかり遵守する能力。

3 実務遂行能力

 

@ 実務能力

実務に必要な基礎的及び専門的知識・技術

A 法令解釈能力

適切に法令運用ができる能力。

B 実行能力

決めた事柄を迅速且つ的確に実行する能力。

4 管理職に必要な能力

 

@ マネジメント能力

限られた資源(予算、人員、時間等)を最大限有効に結び付けて活かす調整能力。

A リーダーシップ能力

 

目標の共有とその達成に向かって、具体的な行動指針を提示する能力。

B 結果責任能力

 

職務に伴う結果・事態について、明確に説明し、必要な対処を行う能力。

 


 

W 千葉県自治研修センターの任務と体制

 

1 任 務

千葉県自治研修センターは、広域共同研修機関としての重要な役割を深く認識し、前章に掲げた求められる職員像、職員に求められる能力を踏まえ、新たな「研修体系」を確立するとともに、研修環境の悪化する状況の中で、中期的な展望に立って、研修参加機会の拡大に努めます。

 

(1)新たな「研修体系」の確立

戦略的な事業運営をめざし、既存の研修体系を見直して、次の方向で新たな「研修体系」を確立します。

@ 分権改革の推進に的確に対応する観点から政策能力、効率化能力、住民と協働する能力の育成を図る研修を充実・強化します。

A 高度な専門的知識・技術的能力の向上を図るため、各種の専門研修を充実するとともに、必要な課程の充実・強化を図ります。

B 団塊の世代が定年を迎えるいわゆる「2007年問題」を契機に、管理職に必要な能力として、マネジメント能力、リーダーシップ能力、結果責任能力等を高めるため、階層別研修の内容を充実・強化します。

 

(2)研修する「場」の多様化

各市町村の抱える行政状況が地域ごとに異なることを踏まえ、研修に参加することの負担を少しでも軽減し、研修参加機会の拡大を図ることを目的として、研修する「場」の多様化等に努めます。

@ 地区別研修会の実施

地域の行政課題等を盛り込み、県内の各地区で実施します。

A 講座・セミナー形式の研修を実施

時宜に適したテーマの講座・セミナーを、短期間・低参加経費で実施します。

B eラーニング実施の検討

主に専門研修の事前学習の一つとして、eラーニングの実施を検討します。

C 「特別聴講生」制度創設等の検討

指定した課程について、研修生以外に「特別聴講生」制度等を創設し、興味のある科目を受講できるような形を検討します。

 

(3)研修効果の拡大方策

研修効果を高めるために、派遣元の市町村との連携を密にし、二次的なフォロー研修を検討します。

 

(4)研修と人事との連携したシステムづくりに関する共同研究

研修と人事が連携した人材育成のあり方を総合的に研究する仕組みづくりを推進します。

 

(5)研修技法の充実

これまでも参加型研修の拡充に努めてきましたが、一層の研修効果を高め、職場で活きる研修とするよう、多様な体験・参加型の技法を活用します。

 

2 体 制

平成18年度から、組織統合・組織改革により体制がスリム化しましたが、地域連携と役割分担の明確化等により、体制の機能強化を図るとともに、良質な講師の確保・育成に努めます。

 

(1)構成市町村との連携

構成市町村との間で、毎年度研修計画の立案・策定のほか、講師の派遣、研修の題材となる事例の収集・開発などの面においても、より緊密な連携体制を構築することを目指します。

 

(2)他の研修機関との役割分担

自治大学校や市町村アカデミー等他の派遣研修機関との適切な役割分担を踏まえながら、良好なネットワークを確立します。

 

(3)大学との連携強化

政策形成能力の向上等を目的として、平成17年度から始まった千葉大学法経学部との業務連携を、今後も継続するとともに、必要に応じて他学部や他大学との連携も行っていきます。

 

(4)組織統合による研修事業の一元化

平成18年度から、千葉県市町村総合事務組合に組織統合したことに伴い、統合前に各組織で行われていた研修事業の一元化を図ります。

 

(5)良質な講師の確保・育成

良質な講師の確保・育成は、重要でありながら時間のかかることでありますが、市町村や他の研修機関との情報交換を深めて新たな講師の発掘に努めるとともに、退職した職員を講師として活用する制度の創設等について検討します。


 

 

お わ り に

 

人口減少社会の到来と、国・地方を通ずる厳しい財政状況の下で、国民の価値観は多様化し、社会のグローバル化や情報化などが急速に進展しています。

このような環境の中で、地方分権が推進され、新たな時代の中で自治体は、その機能や役割を大きく変容させています。そのため、自治体変革の担い手として期待される職員の人材育成が大きな課題となっています。

この「豊かな自治を担う職員の育成をめざして(千葉県自治研修センター研修ビジョン)」は、これからの自治体を担う職員の人材育成の指針として作成いたしました。

年々厳しさを増す行財政環境の中にあって、最後に自治体行政を支えるのは「人材」であり、自治体の能力は単なる職員の数で決まるのではなく、「人材」の質と量で決まることに異論はないところだと思います。改めて「行政は人なり」を強調したいと思います。

千葉県自治研修センターは、県内市町村のための広域共同研修機関として、市町村職員の研修を実施するのみでなく、人材育成に関する情報センターとして、職員の意識改革や研修に関するアドバイスなど、いろいろな面で関わっていく必要があると思います。

しかし、まずは、各市町村の人材育成戦略の中に、重要な位置を占められるよう自らの足元を固めることからはじめることとします。

この研修ビジョンは、そのための重要な第一歩でありますが、何よりも大切なことは、各市町村の任命権者や研修担当者の理解と協力をいただき、双方の間において緊密な連携を図ることであると考えます。その際、なによりも、各自治体の首長を始めとする幹部の方々の人材育成に寄せる熱意が大切だと考えます。

千葉県自治研修センターの研修事業を充実させることにより、県内市町村の人材育成に貢献できること、それがこの研修ビジョンの目標です。そして、この研修ビジョンが実現されていく先には、千葉県内にあまねく「豊かな自治」が展開されていくものと確信します。